にわうるし (庭漆) 

学名  Ailanthus altissima
日本名  ニワウルシ
科名(日本名)  ニガキ科
  日本語別名  シンジュ(神樹)
漢名  臭椿(シュウチン,chòuchūn)
科名(漢名)  苦木(クボク,kŭmù)科
  漢語別名  椿樹(チンジュ,chūnshù)・南方椿樹、樗(チョ,chū)、鬼目(キモク,guimu)
英名  Tree of Heaven
2016/08/03 安曇野市穂高
2005/09/04  昭和公園
2008/01/10 神代植物公園

 ニワウルシ属(シンジュ属) Ailanthus(臭椿 chòuchūn 屬)には、熱帯&亜熱帯アジア・オーストラリア北部に5-6種がある。

  ニワウルシ A. altissima(臭椿・樗木)
    タイワンニワウルシ var. tanakae(臺灣臭椿)
臺灣産
    var. sutchuenensis(大果臭椿)
江西・兩湖・廣西・四川・雲南産
  A. fordii(常綠臭椿)
廣東・雲南産 
  A. giraldii(毛臭椿)
陝甘・四川・雲南産
  A. integrifolia(A. moluccana)
 廣西・東ヒマラヤ・マレシア・ニューギニア・濠洲東北部産 
  A. triphysa(嶺南臭椿)
福建・兩廣・雲南・インドシナ・インド・マレシア・濠洲東北部産 
   
 ニガキ科 Simaroubaceae(苦木 kŭmù 科)については、ニガキ科を見よ。
 「和名神樹ハ Tree of Heaven ナル西洋ノ俗名ヲ譯セシモノニシテ、此樹ニ對シ我邦ニテ最初ニ名ケシ名稱ナリ」(『牧野日本植物図鑑』)。  
 椿の字をツバキにあてるのは日本のみ(一説に椿は国字という)。
 漢語では椿(チン,chūn)は、センダン科の落葉高木チャンチン Toona sinensis(香椿・椿・紅椿・椿樹・春芽樹)や、本種などを指す。
 漢名を樗(チョ,chū)というものは、ニワウルシ、またはセンダン
 『本草綱目』に、「香ばしき者を椿(チン,chūn)と名づけ、臭き者を樗(チョ,chū)と名づく」と。
 『倭名類聚抄』樗に、「和名本草云、沼天」と
 属名 Ailanthus は、モルッカシンジュ A. moluccana の現地名アイラント(「天の木、天に届く高木」)から。
 英名 Tree of Heaven、独名 Goetterbaum は、これを「神の木」と誤解したもの。和名シンジュ(神樹)は、その訳。
 遼寧・華北・華東・兩湖・兩廣・四川・貴州・雲南に分布。中国各地で街路樹などとして植える。
 日本には明治10年頃渡来。
 雌雄異株。
 材は車両を作るなどに用い、樹皮からはカテキュー catechu を作り、種子からは油を採る。
 樹皮(椿白皮・樗皮)・根皮(椿根皮・樗根皮)・果実(鳳眼草)は薬用にする。
『全國中草藥匯編』上 p.711、『中薬志Ⅲ』pp.459-463 『(修訂) 中葯志』V/515-520 
 『詩経』国風・豳風「七月」に、「九月は苴(しょ。アサの実)を叔(ひろ)ひ、荼(と。ニガナ)を采(と)り樗(ちょ)を薪にし、我が農夫を食(やしな)ふ」と。
 「樗」は身近に植えられたが、さして役に立たないので「悪木」とされ、のちには「樗材」とは無用の材を意味し、「樗村」とは荒れ果てた村を意味した。

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